アズカリ

アズの仮置き場。

小人のしわざ

車に乗ろうと

運転席のドアを開けたときのことだった。

 

「え?どういうこと?」

 

タマゴ大の大きさの石が

そこに転がっていた。

石というよりも

コンクリートのかけらのよう。

 

どうやって

ここに入り込んできたのだろう?

 

つい四時間前に車の運転をしたばかりで、

そのときはこのようなものはなかった。

 

だとすれば、

僕が車を降りた直後からの

四時間の間になにかがあったのだ。

 

車のドアは閉まっていた、、、はず。

 

いちいち確かめるわけでもないから

確信はない。

 

車は会社の駐車場に停めていた。

駐車場に

このような石が転がっている可能性は

低いように思う。

 

車が跳ねると危険だし、

あまり見かけるような大きさの石では

ない。

 

仮にこれが転がっていたとしよう。

どうやって

僕の車の中に入ってきたのだろうか?

 

車のドアが開くのは

僕が乗り降りするときのみ。

僕が石を蹴り上げてしまい

車の中に入ったのだろうか?

 

あれだけの大きさの石を蹴れば

気が付かないはずはない。

 

もし仮に蹴飛ばしたのだとしても

地面から車の床までは

十数センチの高低差がある。

 

それを器用に蹴り上げたなんてことが

考えられるだろうか?

 

いや、考えられない。

 

僕はサッカーが大の苦手なのだから。

 

だとすれば、

僕のカバンやコートのポケットに

石が入っていて、

それがなんらかの拍子に落ちたのか。

 

いや、

そんな石を持ち歩く習性は僕にはない。

 

なんのために

コンクリートの欠片を

持ち歩かなくてはいけないんだ。

 

靴底に挟まっていた、、、

んなわけがない。

 

とても靴底の溝に挟まるような

大きさではない。

 

仮に挟まっていたとすれば、

僕は歩くのが困難で

駐車場までたどり着けなかっただろう

と思う。

 

知らない間に小人が石を運び込んだか。

いや、小人に車の鍵を預けた覚えはない。

 

やはり僕以外の人間の仕業

と考えるのが妥当ではないだろうか。

閉めたつもりの車の鍵は開いていた。

 

犯人はそっと車のドアを開け

石を置いた。

 

なんのために?

ブレーキを効かなくするためだ。

 

犯人は

ブレーキの下に

石を忍ばせておきたかったのだが、

なんらかのアクシデントで

石は転がり出てきた。

 

ブレーキの下に石が挟まっていれば、

ブレーキを踏んでも効かない。

 

そうか、

僕は命を狙われたんだ。

僕の存在が疎ましい人間がいるのだ。

 

いや、そんなわけはない。

 

僕はとてもいい人だから、

恨みを買って

命を狙われるなんてことは考えられない。

 

やっぱり小人の仕業だと思う。