アズカリ

アズの仮置き場。

また今度

蟹がね、木に登っていたの。

だから朝から写真を撮りました。

 

だって珍しいじゃないですか、

蟹が木に登るだなんて。

 

あなた、見たことあります?

 

まあ、

その蟹は登ろうとしているんだか、

降りようとしているのだかは

わからないですけどね。

 

どっちかというと

降りようとしているんでしょうねぇ。

下を向いているもの。

 

でも、

蟹って横歩きじゃなかったかしら?

 

だとしたら、

この蟹は木の幹のまわりを

グルグルとまわっているのかしら?

 

困っているのかもしれなかったですねぇ、

降りられなくて。

 

教えてあげればよかったかしら。

あなた、

横に移動するんじゃなくて、

縦に移動しなさい。

そうしたら下に降りられるからって。

 

まあ、

大きなお世話よね。

蟹自身は

その状況を楽しんでいるのかもしれないし。

 

ほら、いるでしょう?

大して忙しくもないくせに

「あぁ、忙しい、忙しい」

ってウロウロしてらっしゃる人が。

 

ああいうタイプなのよ、きっと。

 

それにしたって見事な赤ね。

鳩の血のようにきれいな赤。

 

なにを食べたら

こんなにきれいな赤になるのかしら?

やっぱり鳩かしら?

そんなわけないですって?

 

わかってますわよ、そんなこと。

 

南国には

椰子の実をとる蟹がいるんですってね。

ほら、名前をなんといったかしら?

 

えーっと、ヤシガニ?

 

やだ、そのままじゃない。

なんの捻りもないのねぇ。

 

わたしは苦手だわ、あの見た目が。

グロテスクじゃない?

 

地球上の生物とは思えなくってよ。

間違えて生まれてきたのね。

 

しかも、

椰子の実だけじゃなくて

なんでも食べるんでしょう?

動物の死骸でもなんでも。

 

いやよ、そんなの。

わたし食べられたくないわ。

 

想像してご覧なさいよ。

息絶えようとしている動物の死骸に

わんさか群がっているヤシガニの姿を。

 

あぁ、気味が悪い。

 

そんなことより、

あなたのあの話を聞かせてちょうだいよ。

ビックリしたんだからわたし。

 

え?今日は時間がない?

じゃ、また今度聞かせて。

 

必ずよ、約束ね。